第四回日韓未来フォーラム参加レポート 早稲田大学商学部2年 桑田展行

 早稲田大学商学部2年の桑田展行と申します。今回は高麗大学に留学という機会の中で、「第四回韓日未来フォーラム」というフォーラムを偶然見つけたので、韓国に来たのなら韓国の歴史についても学ぼうそういう思いから今回のフォーラムに参加させていただきました。今回のフォーラムはアジア希望キャンプ機構が主催したプログラムということでした。日本人、韓国人各20名ほどが集まり講演会を聞いた後、5つ用意された日韓問題のトピックについて版で話し合いプレゼンを行いました。その後全体の日韓のこれからの50年後の目標、またそれに向けての手段などわれわれ若い世代としての日韓問題における役目について討論を行いました。私にとってこのようなフォーラムに参加するのは初めてであり、さらに20歳という節目の年に日韓問題について現地の学生たちと実際に話す機会を設けられたことは非常に有意義なものとなりました。自身の人生の今後の中で日韓問題について深く考える契機になったのではないかと思います。私たちの世代として、今後の50年後の姿について私が思ったのは、50年後とは解決を目指すのではなく、妥協を目指すべきなのではないかなと思いました。講演会で、元韓国外交部東北アジア局長、現・東西大学日本研究センター所長である趙世瑛氏が日本映画の『羅生門』を例にとって話をされていたが、「事実は一つであってもそれを見た人によって事実は一つではなくなる、つまり事実は一つではないのだ」という言葉にはうなずかされました。日韓問題は日韓の歴史に深く根付いたものですが、その日韓問題に対しての解決とは何かと問われたときに、日韓それぞれ、人それぞれで解決とは何かが違ってくるのだと思います。だから、解決を求めようとするとそこで止まってしまう。私は趙世瑛氏の言葉を聞いて、妥協点を探っていくのが今後の日韓関係の中で重要なのではないと感じました。

 今回のフォーラムで、韓国人と日本人の違いについても気づかされる点がいくつかありました。

 

 

 まず、韓国人の出席者を見ると、済州、釜山など、かなり遠方から来ている方たちがいて驚かされました。一方で日本の参加者は、日本からの参加というよりは韓国の留学の機会を活かして参加されるという方が多かったように思います。これを見ると韓国人と日本人の日韓問題に対する意識の差を少し見ることができるように思いました。日本でも昨今は日韓問題がとやかく騒がれていますが、韓国の学生はこの問題をかなり深刻に考えている方が多いように思います。それは、グループワーク時についても言うことができます。どこの班を見ても韓国人の方の日韓問題の歴史についての知識が深く、さらにそれに対しての意見も確固としたものがありました。また、自分が扱うトピックに関してはかなり下調べを徹底している韓国人が多かったように思います。私たちの班では日韓の独島/竹島領土問題について扱ったのですが、韓国人の方の、日韓の領土問題の歴史についての流れるような説明には圧巻されました。私たち日本人は日韓問題を話題にすることが多いですが、話題には上がる一方で教育面から見ると日韓問題の歴史をそれほどしっかりは学んでいないのではないかという印象を受けます。実際に私も日韓問題については学校でそれほど習った記憶がありません。対して韓国人の方は日韓問題を深刻にとらえ、しっかり学んできた、そういう地盤の上に自身の意見が立脚しているように強く思いました。私としても今後日韓問題を提起する以前に、日韓問題の歴史についてさらに勉強が必要だと思わされたのは事実です。このように見てくると、韓国人と日本人の違いとして日韓という問題に対する認識、またその歴史に対する意識の違いを見ることができたように思います。

また、討論においても韓国人と日本人の言動の違いについてみることができたように思います。日韓の将来、50年後に私たちは何を目指すべきで、その目標に向けて何をすべきかという討論がありました。この討論においては日本側として参加したのですが、日本側は概して政治的・経済的な意見が多かったように思います。例えば、中国の市場を意識した上での日韓両国の発展など、そのような観点からの話が中心にあったりと、日韓の歴史問題を政治的・経済的利害から捉えるものが多かったように思います。一方で韓国側を見ると、政治的・経済的というよりは、日韓問題を、例えば日韓の植民地の歴史との関連という観点から考えるなど、歴史的問題としての観点から妥協点を探っているという印象を受けました。日本側の解決を目指すという焦点に対して、韓国側の妥協点に焦点を当てているというような印象を受けました。グループワーク時においてもこのような韓国人と日本人の言動の違いついて感じる機会がありました。独島/竹島問題において、日本は沖ノ鳥島、南の鳥島が排他的経済水域の獲得を目指したものだとすると、これらと同じように考えれば独島/竹島は政治的・経済的問題として焦点を当てているのに対して、韓国側は、植民地の象徴として独島/竹島、つまり政治的・経済的問題ではなく歴史的問題として焦点をあてているという議論がありました。この独島/竹島に対する見方の差異が、独島/竹島問題を提起するときにそもそも解決とは何を目的としているのかという点で齟齬が生じているのだから解決策を私たちはまだ見つけられていないのではないか、だから妥協点を探らなければいけないのではないか、そのような趣旨の議論でした。この問題においても、日本と韓国の歴史的問題に対する問題の捉え方の差異、またそれに対する言動の差異を見ることができたのではないかと思います。

 

 

 このフォーラムの中で、以上で見てきたように韓国人と日本人の日韓問題に対する見方の違い、またそれに対する言動の違いを見ることができました。

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